コロナ禍に負けない朝食?人情居酒屋・料理長の苦闘

緊急事態宣言が続く札幌。小さな飲食店は客が激減し、厳しい経営を迫られている。そんな中、「店の灯を守りたい」と奮闘する料理長がいた。

大衆中華と総菜の店「一条まるふじ」。

料理長の白木孝易(しらきたかやす)さん(37)は、早朝6時、店のシャッターを開けて開店準備にとりかかる。もともとランチタイムと夜の営業だったが、新型コロナウィルスの影響で売上が減った分を少しでも補いたいと、3月初めから朝の営業を始めたのだ。

テイクアウトの弁当には、「コロナに負けない!日替わりパワー弁当」という名称がついている。

店内で食べるメニューは、朝ラーメンと中華粥定食の2種類。

粥を啜っていた店の常連、笠原さんは、“支部長”と呼ばれている。保険会社で地区の支部長を務めているからだ。この店では、多くの常連さんがニックネームで呼ばれている。

「これからテレワーク」と“支部長”は苦笑した。50数人いるセールス担当はみんな在宅勤務。朝8時に全員とパソコンで結び、指示を飛ばすのだ。

「ストレスたまりますよ…」食事を終えた“支部長”は自転車で自宅に帰っていった。

朝の営業は7時から9時まで。9時にいったん店を閉めると、パートの従業員も加わってランチタイムの準備に取り掛かる。

この日の日替わりランチは、白木料理長が「必殺メニュー」と呼ぶ自慢のメニュー「青椒肉絲(チンジャオロースー)」だ。

白木孝易さん「これでお客さんが入らなかったら考えないと。営業時間をもっと早めるか…店頭で何か売るか…」

新型コロナウィルスが広まる前は、多い日で120人の客がランチに訪れた。しかし…現在の目標は、70人だ。

ランチが始まる11時30分。続々とお客さんが…。しかし、70人には届かなかった…。

新型コロナの広まりは、料理人たちに深刻な影響を及ぼした。白木さんに中華のイロハを教えた先輩料理人も職場から解雇された。

白木孝易さん「本当に悔しいです、ボクのカリスマだった人が調理場に立てないなんて…。ボクも頑張るしかないですね…」

白木さんはホテルで13年間修業した。街の居酒屋の料理長になった当初は、戸惑いもあったと話す。

白木孝易さん「なんでボクがハイボールを注がなきゃいけないのか、って。ハハハ」

だが、「一条まるふじ」で働いて6年。今ではこの店に強い愛着がある。

白木孝易さん「昔はマシンのように働いていましたけど、ランチのパートさんたちと働いているうちに、眉間にシワ寄せて働くよりも、なごやかに笑顔で料理を作った方がいいんじゃないかと思うようになりました。人情味あふれる店です」

だから、店をコロナ禍から守りたい…早朝に営業してでも…。

この日の夕方にやってきたのは、常連の“シゲさん”。看板屋さんだ。

「一条まるふじ」の表には、『7時から9時 朝食』と大きく書かれた、目を引く看板が取り付けられている。シゲさんがプレゼントしてくれたものだ。

「ボクにできるのは看板を作ることぐらい。頑張っている白木さんを応援したくて」と“シゲさん”は優しい笑顔を見せた。

温かな常連さんに支えられて、白木さんは朝の営業を続けている。


関連情報)

一条まるふじHP


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