伝統工芸“優佳良織”に挑む新人職人に密着

北海道の四季を糸で織りなす伝統工芸“優佳良織”。匠の技術を未来に伝える「伝承者」を目指す、新人女性職人に密着しました。

27歳の廣島亜衣さんは北海道余市町生まれ。2019年5月に単身、旭川にやってきました。それは、ある世界に飛び込むためです。

廣島さんの職場は「優佳良織工房」。制服代わりのベストがまさに、旭川でおよそ60年前に誕生した伝統工芸品、「優佳良織」です。

創始者の木内綾さんが考案した優佳良織は、ときに200色以上の糸を使って織り込み、北海道の四季を表現しています。廣島さんは、そんな優佳良織職人の1年生。きっかけは、地元余市にいた2014年…一瞬のひとめぼれでした。

廣島亜衣さん「秋の摩周湖という柄。お客様の一人がこの柄の財布をもっていてすごく印象に残っていました」

当時、余市のニッカウヰスキーの売店に勤めていた廣島さん。一日1000人とやり取りする中で、一人の女性が持つ財布が目に焼き付きました。

廣島亜衣さん「見たときに、どこの財布なのか全然わからなくて、深いブルーの中に立体的にグリーンやオレンジがグラデーションで出てきているところがすごく美しいな」


そして6年後…思わぬ再会を果たします。

廣島亜衣さん「画像検索をしていたら、ここの財布が出てきて、あのときのだ!旭川って書いてある!と思って。(運命的な?)それは感じましたね」

しかし、その当時「優佳良織」の運営母体は倒産。それでも諦めきれませんでした。

廣島亜衣さん「いやちょっと待ってくださいよと。絶対にこんな素晴らしいものを旭川市が発祥なのに、続けている人は絶対いるはずだと思って動いた」

廣島さんの直感は当たります。優佳良織を守りたいと、2018年に立ち上げたばかりの工房を発見。すぐに「職人」として仲間入りを果たしたのです。

優佳良織工房代表・高嶋良樹さん「若い人に来てもらわないと、私たちは何年生きれるかわからない。今度は彼女たちが主役でと考えている」

糸1本からの手作業。目と指先の神経を集中させ、太さを合わせながら糸を引き出すのは、見た目以上に難しい作業です。機織機を前にすると、さらに表情はぐっと引き締まります。

優佳良織を37年作り続ける職人、菅原さんのもと、ノウハウを教わっています。模様を縫うのではなく織る作業は、糸の位置を一つずつ確認しては通す至難の業。こうして色と色を重ね合わせ、一枚の生地を生み出します。

ヨーロッパ各地で展覧会に招かれるなど、世界的にも高い評価を受けた希少な伝統工芸品なのです。1つの柄を覚えるのには3年から5年…。1日1日が集中の連続、真剣勝負です。

そんな廣島さんの安らぎの場は、自宅からすぐ近くにあるこの場所。暖色のライトとアンティークの雑貨がお気に入りで、冬になっても欠かさずアイスカフェラテを注文します。


廣島亜衣さん「一生懸命仕事する糧」

余市から旭川へきて8か月。北海道生まれの織物を受け継ぎ、そして未来へ伝える「職人」の道、まだ始まったばかりです。

廣島亜衣さん「旭川に来てよかった。ひとめぼれした「秋の摩周湖」が織れるようになれればいいな。次の世代へ伝承していける人間になりたいです」

優佳良織をめぐっては、2016年に倒産してしまった、元の拠点「優佳良織工芸館」の復活に向けて、地元企業が資金援助をしようと、2019年10月に新たに財団を立ち上げて動いています。2020年度の再開を目指し、今も道や市との交渉が続いているということです。


「優佳良織工房」

場所…北海道旭川市川端町6条10丁目

Tel…0166-67-2547

0コメント

  • 1000 / 1000