人のために働く職業犬”災害救助犬”とは?

2018年の胆振東部地震で行方不明者の捜索に従事したのは、自衛隊員や消防隊員だけではありません。人のために働く職業犬「災害救助犬」の現状を取材しました。

北海道登別市でドッグスクール「トレーニングハウス・ドッグトーク」を営んでいる、犬の訓練士、小野寺里絵(さとえ)さんです。

7歳の愛犬「アクセル」は、災害が起きたときに、崩れた建物や土砂の中にいる人を探す「災害救助犬」です。ここでは、壊れた車や廃材を置いたエリアに、仲間の訓練士が隠れ、それを見つけ出す訓練をしています。

においから特定の人物を探し出す警察犬とは違い、災害救助犬は、閉じ込められている人の呼気や、人がストレスを感じたときに出す、かすかなにおいを嗅ぎ取り、要救助者を探し出します。

その場所がわかると、辺りをぐるぐる回り、吠えて知らせます。アクセルは日々、このような訓練を重ねています。

小野寺里絵さん「入る隙間が無くても、ここに要救助者がいることが分かった。あそこなんだとわかれば、自衛隊や消防に知らせられる」

アクセルは6年前、1歳3か月のときに、ブリーダーの全国組織「ジャパンケネルクラブ」が認定する災害救助犬の試験に合格しました。その4年後、能力を生かすときがやってきました。胆振東部地震の土砂崩れ現場です。

小野寺里絵さん「胆振東部地震のときが初出動。かなり真面目に捜索してくれた」

警察犬や自衛隊の警備犬に交じって、アクセルも要救助者の捜索に加わりましたが、小野寺さんにとっては、課題を突き付けられる経験となりました。

小野寺里絵さん「チームとして存在していなかったので基本的に現場にすぐ入れなかった」

どこの現場で、誰に指示を仰ぐのか、小野寺さんにはネットワークがなかったため、出遅れてしまったのです。

小野寺里絵さん「私たちに不足していたのは、行政や他団体とのつながり。どんなに優秀な救助犬を持っていても1人では活動できない」

チームを作る必要性を感じた小野寺さんは、同じ志を持つ訓練士5人とともに、道内初の救助犬チーム「北海道災害救助犬」を結成しました。災害救助犬になれるのは、大型犬だけではありません。狭い隙間がある場所では、小型犬が活躍します。

5歳のコーギー「こうちゃん」は、この日、土管の中にいる人を探し出す訓練に臨んでいました。

小野寺里絵さん「においは取ったね。上がれればいいけど」

土管の周りをぐるぐる回る「こうちゃん」。

小野寺里絵さん「おー行った行った、落ちるなよ」

悪戦苦闘しながらも、“要救助者”を発見しました。普段は、ペットとして暮らしている「こうちゃん」。しつけをお願いしていた訓練士が、才能に目を付け、「災害救助犬」になるための試験を受けることになりました。

こうちゃんの飼い主・𠮷井博子さん「うれしい反面不安です。危険なところなので。災害現場に行くときは気をつけて頑張ってほしい」

災害救助犬の育成は、すべてボランティア。装備品や、災害現場での活動費も寄付などで賄われています。

小野寺里絵さん「よきペットになり、警察犬や盲導犬など人に尽くしてくれる犬もいる。犬は一番身近で人の気持ちがわかる動物。現地でも一生懸命人を捜してくれる」

現在、道内にいる災害救助犬は、22匹。大きな災害がないことを願いつつ、いざというときに備えています。



《取材メモ》

チームができて活動体制が整ったことから、小野寺さんたち「北海道災害救助犬」は行政などと連携できるよう協定締結に向け動いています。活動はボランティアのため、災害救助犬育成のため募金を受け付け中です。hrd2018ezo@gmail.com(北海道災害救助犬)までお寄せください。

0コメント

  • 1000 / 1000